メンマについて

名前の由来

 今ではラーメンの代表的な具材の一つである「メンマ」は、昭和20年代までの日本では「中国の竹」ということから、「シナチク(支那竹)」と呼ばれていました。その原料は元々日本にはないマチク(麻筍)という竹の一種で、台湾では、これを乾燥するなどした通称「筍干(スンガン)」という保存食にしていました。調理方法は主に油で炒めるか、豚肉と一緒に煮込むのが一般的でした。

その食材に目をつけた台湾の弊社の前身会社は、台湾で筍干の生産を行い、そこから中国沿岸部へ輸出を始めました。そんな中、大正期に入り、当時の同社社長(郭松吉)が、取引のなかった日本に立ち寄ったところ、横浜の中華街で自社ブランドである「丸松印」の袋に詰められた筍干を偶然見つけました。さらにその用途が中華圏では考えられない、ラーメンの具材に用いられていたことに非常に驚いたのです。この想定外の出来事から後日、日本との直接取引を開始しました。

 戦後のある日、台湾で日本向けの筍干の輸出申請をいつも通りに行ったところ、その輸出表記名「SHINACHIKU(シナチク)」に侮蔑的用語が含まれているとみなされて抗議を受けました。そこで、弊社の名誉会長であり前身会社社長の息子でもある松村秋水は、考えあぐねたうえ、「日本での用途は麺(メン)の上に載せる麻(マ)筍だから『メンマ』という名にしよう」とひらめき、名前を変えたのです。そしていつの間にかその名称が、口コミによって日本中にどんどん広まり、今日のように定着していった、というのがメンマの名付けの経緯です。

 名付け親だからこそ、私たちは製品に対してどのメーカーよりも熱い想いを持っています。